テイスティング・ルーム第30回
東京のとあるバーに集まる男女3人。
モルト通とはまだまだいえない初心者からセミプロまでいますが、
自分勝手なことをしゃべっているには変わりありません。
話の内容については、まあ信用できるでしょう。
なにせ呑んじゃってるんですから。
今回のウイスキー
- 1990年グレンキース13年(SMWS)
- 1990年リンクウッド12年(SMWS)
- 1984年アイル・オブ・ジュラ18年(SMWS)
登場人物
マスコミ関係の会社に勤務。おいしいものをおいしいと言える、20代の素直な女性。
金融関係の会社に勤務する男性。仕事がシビアな割に、舌の方の評価は優しい40代。
昼は国際派ビジネスマン、夜はバー&モルト逍遥の達人。
歯に衣着せぬコメントとおやじギャグが痛快な男性。
とあるバーのマスター。?代の男性。
今日は、久々にソサエティ(スコッチ・モルト・ウイスキー協会)が ボトリングした3本を持ってきました。
ソサエティ・ボトルといっても、ただのソサエティではなくて、 スコットランド土産の第二弾です。
うわ~い。
ソサエティは、日本支部にも同じようなものが来ることが多いんですが、 必ずしも同じものが来ているとは限りません。
それで、スコットランドのリースにあるソサエティの本部に行って、 現地でテイスティングしたものの中から、出来のよいもの、 興味深いものを何本か買ってきました。
今日お出しする3本は、その一部です。
すいません。
「必ずしも同じものが来ているとは限らない」というのは、 どういうことなんでしょうか?
同じ時期にリリースされている同一蒸留所のボトリングでも、樽が違うんです。
たとえば、リースの本部で売っているものの樽番号が81.5であっても、 日本向けは81.6であったりとか。
世界各国に支部や会員数が増えてきているので、バーボン樽のように、 一樽から150~160本程度しかボトリングの出来ないものの場合には、 1つの支部への割当本数が10本前後しかないようなこともあります。
供給本数が極端に少ないときには、日本支部ではだいたい 電話抽選を行っていますね。
へえ。
ただ、販売見込に合わせて国ごとに割り振りのウェイトを変えていることも あるようで、樽番号1.61をアメリカ向けにして、樽番号1.62を日本とスイス向けに するようなこともやっています。
大体、一樽はスコットランドの本部で取っているんです。
で、スコットランドで取り置いたボトルで、相当数残ったような場合には、 各支部の要請に応じて、支部あてにまとめて割り当てることもありますね。
だから、今年になって日本で販売開始したのに、瓶詰が2002年だったり、 2001年だったりということもよくあります。
あと、よく言われているのは、スコットランドで人気のあったものが、 日本で売れるとは限らないらしい。
一方、日本で品切れになるほど注目されても、スコットランドでは それほどでも無かったりとか。
国によって、相当にばら付きがあると。
なるほど。
だから、残り物にも福がある。
1990年グレンキース13年(SMWS)
今日、最初にテイスティングしていただくのは、 グレンキースの13年です。
蒸留が1990年3月で、瓶詰が2003年3月。
樽番号が81.5で、アルコール度数は56.3度ですね。
ソサエティ本部でテイスティングした中から、 これを選んだのは、グレンキースらしさがよく出ていると 感じられたからです。
ふうん。
そういうわけで、このグレンキース No.81.5は、 日本にはまだ一本も来ていません。
ここに一本来ている。
ここに一本だけね。
ウフフ。
わ~い。
皆さんの感想はいかがでしょうか?
色は割と薄いですね。
飴色。
樽の種類は、バーボン樽ですか?
ええと、手元のリストでは、瓶詰245本となっていますので、 ホッグスヘッドですね。
すいません。
ホッグスヘッドって、どういう意味でしたっけ。
「豚の頭」でしたよね。
ええ、そうです。
ところで、なぜ豚の頭なんですか?
そんなこと知るもんか(笑)。
グレンキースと言えば、ストラスアイラの第二蒸留所として、 その名が知られていますが、ポットスチルの形状も、蒸留所の規模も全く違います。
へえ。そうなんですか。
そうなんです。
多くの場合、第二蒸留所は元々あった第一蒸留所のレプリカとして 造られるわけなんですが、グレンキースとストラスアイラは全く違いますね。
グレンキースは、ストラスアイラに似ても似つかないというより、 規模が遥かに大きいです。
華やかで、濃厚な香り。
甘くて、フルーティー。
花の蜜のような香り。
すごく美味しそうな。
本当にいい香り。
グレンキースは、よく林檎の香りっていわれるんです。
これは、かなり熟した、濃い味の林檎ですね。
香り高くて。
うっとりです。
ほんとに。
林檎の皮のようなところがある。
あと、マンゴスチンかな。
う~ん、それから、ちょっと時間が経つとスパイシーな感じが立ってくる。
うん、そうだね。
アルコールの強さが前に出てきて、まだハッキリと捕らえきれてませんが。
いったん、味わってみましょうか。
まず強い刺激が来るね。
最初に痺れるくらいの刺激があるんですが、そのうちに果物香が口の中に、 パって広がってくるんです。
うん、そうですね。
結構、苦味があるように思う。
苦さは、口の中を刺した刺激が舌に残るんじゃないかな。
林檎の甘さと、蜂蜜の甘さ。
スパイスの刺激とトロピカルフルーツ。
マンゴーみたい。
香りと味、どちらに感じるの?
両方ですね。
どちらかと言えば、味のほうが強いかな。
やっぱり溶剤っぽい感じもありますね。
開けたてですからね。
セメダイン、シンナーとか。
シンナーよりは接着剤っぽいですね。
口に含むとフルーティーな甘さと苦さの印象。
そう言えば、ラベルの右側に特徴を示すコピーがあったよね。
Iさん、読んでみてくれない?
ええっと、”Tropical Fruit Salad”ですね。
なるほどね。
マンゴーやマンゴスチンを刻んだサラダに、スパイシーなドレッシングが 掛かっているっていうことかな。
なるほど。
香りがちょっと変わってきた。
スモーキーな感じが出てきた。
どれどれ。
ああ、埃っぽさとスモークの混じり合ったみたいな。
このモルトが、ただ甘いだけで、こういう刺激が無かったら、 きっと物足りなかったと思う。
ああ、そうですね。
テイスティングらしい、良いコメントになってるね。
確かに強い甘さと刺激の両方があるから、 このモルトの個性は際立っている。
スモーキーな刺激のなかに、プラスチックを焦がしたような感じ。
ああ、なるほど。
プラスチックよりは、塩素系のビニール袋が焦げた感じじゃないかな。
うん。そうね。
最初に感じた強いしっかりした甘さの印象が弱まってきて、 今は酸味の感じと刺激の存在感が残っている。
スパイシーっぽさや、樹脂の焦げた感じもある。
喉が熱くなって、焼けたような感じもあります。
なかなかいいですよね、これ。
ほんとに、いいです。
グレンキース蒸留所は、ストラスアイラよりも規模が大きいし、 ポットスチルの形も違うっていう話でしたが、使用している麦芽とかは 変えているんですか?
どちらも、シーバス・ブラザースの供給ですから、麦芽自体は同じですね。
ストラスアイラも、グレンリヴェットも、グレングラントも。
へえ。
ストラスアイラと何が違うかというと、製造規模が全く違います。
ストラスアイラは、ポットスチルが小さめなので、 マッシュタンなどの前工程も小規模なんですね。
一方のグレンキースは大型のポットスチルが6基ですから、 それに合わせて、前工程も後工程も大容量に造ってあります。
なるほど。
それでも、グレンキースのオフィシャルがあまり出回っていないのは、 シーバス社のブレンデッド用、例えばシーバスリーガルなどに 大半が消費されているって言うことになるんでしょうか。
そういうことでしょうね。
ちょっとスパイシーで、ドライなところが似ているかな。
こんなに甘さは前面には出ていなかったようにも思えるけれど。
ああ、随分とスモーキーさが出てきました。
ここは多少ピートも使っています。
前半に感じたフレッシュな感じはもう消えてしまいましたね。
これのスパイシーさはクローブに近いですね。
舌の真ん中に集まるような甘みがあります。
時々黒砂糖のような濃厚な甘みも出てきています。
口の中の味わいの方に。
あと葡萄の種も感じる。
ビニールの焦げた感じは少し気になるけど、 前半と後半の表情の変化があって面白いですね。
おいしいです。
1990年リンクウッド12年(SMWS)
それでは、二本めに行きましょうか。
同じくソサエティ・ボトリングのリンクウッド12年です。
1990年6月蒸留の、 瓶詰が2003年3月ですね。
樽番号は39.42で、 アルコール度数は58.2度になっています。
これを買ってきた理由はどういうことですか。
リンクウッドは、割合と数が出ている。
つまり流通量の多いモルトだと思いますが、 これまで自分が飲んできたなかでは あまり「当たり」と思えるものがないんです。
単にアルコール感が強かったりとか。
そういうなかでは、これはお奨めになるだろうと確信できたので。
樽の種類は?
シェリー・バットですね。
わあ、期待しちゃいます。
皆さんの期待に応えられるでしょうか。
うわあ、奇麗な赤が出ています。
ビーズも立っていて、良いですね。
年数が短い割には、見た目の質感はしっかりとしている。
鼻を近づけなくても、こうしているだけで良い香りが立ち上ってきます。
ねっ、シェリー好きには堪らないでしょう?
本当に。
ただ、シェリー嫌いには、匂いから駄目でしょうけど。
トップから甘い香りですよね。
まさにシェリーフローラルですね。
華やかで、甘い香り。
黒砂糖のように濃い甘さを感じる。
お酢も。
鼻に感じる刺激の部分に、酢酸っぽいところもありますね。
なんて良い香りなんでしょう!
ヘザーっぽい草のような感じもあるんだけれど、それとは別の流れで、 濃いトロピカルフルーツとかシロップとかも感じる。
熟成12年とは思えないくらいに、濃く仕上がっていますよね。
そうですね。
う~ん、これはドランブイみたいです。
えっ、ドランブイって、リキュールでしたよね。
何種類ものスコッチとハーブと蜂蜜で作られています。
鼻に感じるシロップの甘さとスーっとした清涼感が、 確かにドランブイに通じる部分としてありますね。
スパイス感もあるように思うけれど。
すいませ~ん、ドランブイをストレートでください。
スパイシーさは、ドランブイほどには強くないようにも思いますが。
確かにそうかも知れないけど。
オールドボトルのドランブイはスパイシーさの立っているものが多いですね。
先日飲んだオールド・ドランブイはカレーパウダーの匂いだった。
(ドランブイのグラスが回される)
うわ、ドランブイって香草の香りがするんですね。
決定的な違いがあるとすれば、薬草の香りですね。
リンクウッドの方には、ドランブイの持つ薬草の香りはしない。
確かにそうね。
ドランブイの方には、グリーンの感じがある。
味わいの方も、濃い甘さがあります。
ハッキリとした濃い甘さがわかりやすいですよね。
フルーツが3種くらい。
まず最初にレーズン。
ああ、確かに。
するする。
それからパパイヤ。
うんうん、そうですね。
で、最後は?
ええっと、蜂蜜。
蜂蜜はフルーツじゃないです。(冷静に)
えっ、そうだっけ?
アメリカでも、蜂蜜は果物ではないです。
じゃ、訂正。
いろいろで3種(苦笑)。
フィニッシュには硫黄を感じてしまう。
個人的には、結構気になる。
グレンキースのようなビリビリした刺激もないですよね。
熟成年数は短いし、アルコール度数も高いのに。
私には、とっても美味しい。
どうしよう。
硫黄は感じない?
嫌な感じはないですね。
本当に美味しいです。
最近のIさんには、お気に入りの部類ですよね。
押しも押されぬシェリー党だから。
ええ(微笑)。
ただ、一杯だけなら良いんですけど。
そんなに何杯も続けては飲めないんじゃないかと。
確かにデザートモルトっていう感じの濃い甘さですよね。
ちょっと時間が経ってきたら、ビターな余韻も出てきたようです。
硫黄のような苦さはあります。
そうではなくて、ビターチョコのような甘苦さなんですが。
僕は葡萄の種を噛んだときのような苦さを感じますが。
ああ、本当に美味しい。
今日は矢鱈繰り返してますね。
だって本当に美味しいんですもの。
私の好きな甘さの個性がギュって凝縮されていて、 口の中で濃いインパクトになっているんです。
子供の頃に大好きだったドロップを口に入れたときのような。
これが喉を通っていくときも、大好きなドロップの甘さみたいに感じられます。
ああ、本当に美味しい!!
スパイシーピートみたいな感じがあるんだけど。
そうですね。
後半からの印象には出てきています。
香ばしいピートの感じ。
飲めば飲むほど、口の中に溜まってくるような。
ちょっとだけ水を入れてみようかな。
私は絶対に駄目。
う~ん、加水したら甘さが前面に出て、シロップみたいな感じ。
僕は硫黄の方が気になってしまって、それほど甘さの方は感じない。
よく考えると甘いことは甘いんだけれど、硫黄の苦さとバランスしてしまっている。
今、ようやく硫黄っぽいところを感じます。
それを不快には感じない?
ええ、ただ硫黄だっていうだけで。
硫黄が好きか嫌いかで分かれるところ。
僕は、今は苦手。
昔は好きだったけれど。
私は、昔は苦手だったんです。
今は気になりませんが。
来年あたりでお互い逆になっているかもね(笑)。
そうですね。
Iさん、このモルトのコピーはどう書いてあったっけ?
ええと、”Honey on Burnt Toast”ですね。
なるほど。
苦さの裏地が焦げたトーストの部分で、前面に出ている濃い甘さが蜂蜜なんだね。
よく見たらドランブイって薄く書いたあったりしてない?
書いてありません。
(きっぱり) ところで、ドランブイでは、どんなカクテルを作るんですか?
すいませ~ん、ラスティ・ネイルをください(笑)。
ラスティ・ネイルっていうのは?
錆びた釘のことです。
そうじゃなくて。
スコッチ・ウイスキーにドランブイを入れたものです。
どこにでもあるスタンダードなカクテルです。
チョコとかクリームほど甘いカクテルは欲しくないけれど、 ちょっと甘さのあるものが欲しいときに向いていますね。
ただ、レシピには個人差があると思います。
へえ。
ドランブイの量によって甘さの表情が違うんです。
僕の兄は、バーに行ってラスティ・ネイルを注文したときに、 ドランブイの量はどうしますかって、聞かれると。
聞かれると?
この店が使うスコッチ・ウイスキーの質の悪さが分からなくなる程度の 量までドランブイを入れてくださいって言っていた(笑)。
で、お店の人はどうするの?。
だいたい困った顔をして、ラスティ・ネイルを作る(笑)。
1984年アイル・オブ・ジュラ18年(SMWS)
それでは、三本目に行きましょうか?。
アイル・オブ・ジュラの18年ですね。
1984年10月の蒸留で、 2003年2月のボトリングです。
樽番号は31.10で、 アルコール度数は59.0度になっています。
かなり濃い赤い色ですね。
樽の種類はシェリー・バットですか?。
Sさん、今お持ちになっている資料には、 これのボトリング本数が書いてありましたよね。
139本ですね。
そこまで少ないと、シェリー・バットではないようですね。
奇麗な赤い色は出ていますけれど。
不思議ですね。
資料にはカスク・タイプは書いてないんですか?
書かれていないね。
これほどの赤い色がシェリー由来とかでないのは、不思議だと思うけどね。
華やかな香りですね。
濃くて、強い香り。
パワフル。
今日は、どれもスパイシーに感じる(笑)。
これも鼻に強い刺激がありますからね。
そうね。
これも好きな香りです。
ロシアン・ティー。
うんうん。
そうそう。
ロシアン・ティーね。
確かに。
苺ジャム入りの紅茶。
甘い香りとタンニンっぽい苦さ。
味も、ロシアン・ティーになっていますか?。
これも甘いですね。
甘いんですが、ピートの味わいがするんですよね、これ。
ああ、本当だ。
苺ジャムの甘さと、ピートの味わいと両方感じる。
最近まで、ジュラはピートを使っていないと思っていましたから、 意外ですし、不思議ですよね。
口に含んでから、香りに戻ると余市っぽい。
うんうん。
確かにそうですね。
ウッディで。
松ヤニ、鰹だしっぽいところ。
ああ、鰹だしするね。
不思議だな。
最近販売され、ピーテッドモルト使用で話題を集めた アイル・オブ・ジュラ3年(1999年蒸留、2002年瓶詰、60.7度)にも 余市っぽい個性がありました。
今日のこれは1984年蒸留の18年でしたよね。
う~ん、なるほど。
こういうことが仮説として成り立ちませんか?。
ジュラ3年、1999年蒸留のものが再開後のジュラ蒸留所における ピート初使用のように言われているが、実は1984年にも、ピーテッドモルトを使用して 製造されたものがあったと。
ふ~ん。
なるほど。
試験的に使ってみたことがあるということはあるかも知れませんね。
あと考えられるのは、モルトスター(麦芽加工業者)のポートエレン・モルティングが 間違えてピーテッド・モルトを納入してしまった。
ああ、そういうのは時々あるみたいですね。
そうなんですか。
別の考え方をすれば、こういう仮説も成り立つと思います。
ソサエティが、ジュラ3年の樽とジュラ18年の樽を間違えてボトリングしてしまった(笑)。
あともう一つ。
新人の担当者が、ジュラ3年の樽を6つボトリングして、 ジュラ18年のラベルを貼ってしまった(爆笑)。
ない、ない。
ジュラ3年の時に感じたあのピートの独特の香りなんですが、 これは3年ほどには強くないんですよね。
お二人はソサエティの会員になっているの?。
僕は、ずっと考えています。
コストパフォーマンスが見合っているかなとか。
私でも、会員になれるんですか?。
お金さえ払えば、初心者でも大丈夫。
ソサエティのモルトはメンバーでないと買えないんです。
へえ。
あと試飲会とかのイベントにも参加できるんですよね。
そうです。
はい。
いろいろとお店で飲んでみて、年数と価格とか、出来具合と価格とかが バランスしていたり、していなかったり。
随分とバラつきがあるように感じることがあるんです。
そういうなかで、これ掘り出し物って思うようなものは、 HPを見てもほとんど完売になってしまっているし。
ちょっと高いなって思うこともありますね。
まあ全て樽出し・無加水だから仕方ない部分はあるんですが。
そろそろテイスティングに戻りましょうか?。
そうしましょう。ちょっと脱線しましたね。
私としては、癖が無くて、とても飲みやすい。
シェリーっぽさも、若干エグみがあるくらいで、 不快に思うほどにはなっていませんね。
私、1年くらい前まで、シェリーのエグみって全然駄目だったじゃないですか。
それが、最近は全然平気になっちゃいました。
逆にちょっとエグみがあった方が良かったりして。
ええ、そうかも知れない(笑)。
ああ、これは3年のジュラを熟成させたような感じ。
ええ、ジュラ3年に似ていたんで、試飲した時に驚いたんです。
だって80年代の蒸留ですからね、これは。
絶対に、ピートを使っている。
間違えて納入されちゃったんでしょうね。
やっぱり。
カリラに行くはずのピーテッド・モルトがジュラ蒸留所に 行っちゃったんだろうと。
このジュラ18年は、リースの本部に在庫ありますか?。
ええ、あるだろうと思います。
リースにも、ロンドンにも。
練馬にはロンドンありますか?。
へっ?。
楽しいロンドン、愉快なロンドン。
なあ~んだ。
そういうギャグなんですね。
今わかりました。
イギリス人が飛びつくようなモルトではないと思いますから、 イギリスの会員経由で入手することはできるでしょうね。
ジュラ3年を飲んで、ピーテッド・ジュラが気に入った人には お勧めのモルトですよね。
僕も、ジュラ3年はお気に入りですから。
私も好きです。
今、ここでジュラ3年は飲み比べはできますか?。
今日は用意できないんですが。
一緒に出すと面白いでしょうね。
どちらもジュラとしては異色だし。
そうですね。
あと15年で、こういう風になるよって。
ジュラ3年のボトルを未開封にしたら、 とんでもないことになっているかも知れませんよ。
フフフフ。
だよね。
あのジュラ3年は、3年なのにあれほど熟成が進んでいましたから、 もし樽があったとしても8年くらいが限界だろうと想像しますね。
口残りには、巨峰の皮の味がします。
はい、はい、はい。
紫色の大きな葡萄でしょ。
ああ、本当ですね。
葡萄の皮と、鰹だしの旨み。
旨みは、それほど強くないけれど、ずーっと感じますね。
幸せそうだね、Iさん。
はい。ほんとに。
これもそうなんだけれど、飲めば飲むほどにピート感が強まって、 スパイシーになっていく感じがあります。
今日の3本はすぺてピートを感じましたが、このジュラ18年が 最もピートが強いと思いますね。
確かにそうですね。
黒砂糖のようなピートの印象。
ピーテッドと言ってもアイラモルトのように薬品臭くはないんですよね。
ピートの個性の出方が違うんですよね。
不思議ですね。
時期的には、ジュラ蒸留所はポートエレン・モルティングを使用していたので、 ピーテッド・モルトであれば、アイラ島のピートに間違い無いんですが。
そういうことになるんですね。
確かに、ジュラ3年も、アイラピート使用だろうと思われますが、 アイラ・モルトで感じられるピートの個性とは違っていましたね。
謎は深まるばかり。
おいしいければ理屈は良いんです。
香りには濃厚な甘さは感じなくなって、黒胡椒のようなスパイシーな感じ。
ところで、Iさん、ジュラのラベルに書いてあるコピーは、どうなってますか。
ええっと、”Strawberry Jam on Burnt Toast”。
焦げたトーストの上の苺ジャムですって!!。
これ、ピッタリじゃないですか!。
本当にそうだよね。
最初に感じたロシアンティーの苺ジャムの甘さと ピーテッド・モルトの印象をうまく言い合てている。
ソサエティのコピーは、時々かすりもしないこともあるんですが。
アメリカ人では意味のわからないものもある(笑)。
リンクウッドは、今嗅ぐと硫黄っぽいけれど、とても良い香りです。
僕的には、ちょっと強すぎる感じ。
グレンキースの方は、マジックインキみたいです。
うんうん。甘みのある揮発臭だね。
ああ、確かに。
ジュラの方は、とても濃い出しの香り。
旨み。
やっぱり、余市の鉛筆の削りカス。
まだ鉛筆のカスありますね。
そろそろと総括に行きましょうか? Iさん、いかがでしたか?
はい。
どれも甘い香りと味わいがあって、 しかもピート感やシェリーっぽい個性とがうまくバランスしていました。
その中で、一番良かったのが、リンクウッドです。
ノックアウトでした。
何が良かったんですか。
逆に、どんなところが嫌だったんですか。
全てが良かったですね。
ウイスキーを飲んだことのない同性の友人や、ウイスキーが得意ではない 同性の友人がいたら、とっても甘いの、ぜひ試してみてって、奨めてみたいですね。
みんな、これがウイスキーなのって、びっくりするんじゃないかと思います。
ウイスキーに対する固定観念を、良い意味で破壊するだろうと。
なるほどね。
Kさんは?
Iさんの言われたみたいに、甘さのあるところが今日の3本の 共通点だったと思います。
香りも、味も、濃くて、華やかで、パワフル。
そしてそれぞれの個性は、それぞれのラベルに書かれたコピーのように、 よく違いが出ていた。
トロピカルフルーツ、蜂蜜、苺ジャム。
一本目のグレンキースは、トロピカルフルーツと酸味とスパイシーさのバランスが 今一つに感じられて、自分の趣味とは違っていたかなと思います。
ジュラとリンクウッドは、どちらも自分好みなんで、 甲乙付けがたいところがありますね。
これまでに飲んだリンクウッドのなかで、これほどに甘くてパワーがあって 濃いものはなかったし。
ジュラは自分にとってお気に入りのジュラ3年をさらに熟成させて 美味くしたようなところがあるし。
ジュラは甘さとピートがベースにあって、味の変化が多彩にあるところも よかったですね。
やっぱり、リンクウッドのところで硫黄の好みの話があったんだけど。
今日は、どうも最初の方で硫黄を感じてしまうと、 そちらの方が気になってしまいましたね。
ただ、ピート系のものはピートで救われているところもあったなと思います。
で、グレンキースは、味わいの変化の仕方が面白かった。
最後になって落ち着いてきたところで良くなってきたんだけれど、 そこに辿り着くまでに時間が掛かりすぎたように思います。
ジュラは、余市・ジュラ3年との共通項が多くて、とても気に入りました。
胡椒っぽいピート、鰹だし、ウッディなところ、どれもいいです。
面白さとしては、ジュラ3年との比較もできるし。
やはりダントツにトップですね。
それにしても、これが80年代のジュラだと言われても信じがたいですよね。
ジュラ3年を知っているから、ピーティーなところは知っているけどね。
今日の3本について言えば、ジュラが樽詰18年で、十分に熟成していて、 一番出来が良いと思いますね。
Iさん、今の残り香をそれぞれ試してみてください。
ああ、ほんとうに。
ジュラだけは、まだ良い香りがしています。
アルコール度数もしっかりあって、フレッシュさも強さもあって。
ここから先は、柔らかくなって、今出ている個性が無くなってくるから。
ほんとうに良いね。
すぐに買うことにしよう。
やれやれ、買占めですか?。
もしも無くなってたら、どうします?。
ジュラ3年を6本用意して、バッティングすることにします。
あっちゃぁ~。
お後がよろしいようで。