テイスティング・ルーム第1回
東京のとあるバーに集まる男女3人。
モルト通とはまだまだいえない初心者ながら、
マスターに勧められるモルトをテイスティング、勝手なおしゃべりをしています。
話の内容については、まあ大目に見てあげてください。
今回のウイスキー
- 1989年グレンロセス10年(ウィルソン・モーガン)
- 1988年ハイランドパーク12年(マッキンタイア)
- 1981年ポートエレン19年(ザ・ボトラーズ)
登場人物
マスコミ関係の会社に勤務。おいしいものをおいしいと言える、20代の素直な女性。
通販関係の会社に勤務する30代の男性。以前は著述業を副業としていたので、表現は独創的。
金融関係の会社に勤務する30代の男性。仕事がシビアな割に、舌の方の評価は優しい。
とあるバーのマスター。?代の男性。
1989年グレンロセス10年(ウィルソン・モーガン)
今日のテースティングの一本目は、1989年蒸留のグレンロセス10年。シェリーカスクで46度。
ボトラーはWilson&Morganです。
度数は調整されていて薄いので、これから行ってみましょう。
(まずは、ノージングから)
色は、飴色の薄い感じですね。
う~ん、とってもいい香り。
おいおい、いきなりそれじゃ、テイスティングにならないよ。(笑)
そうそう。(笑)
うーんと、シェリー香に、ヘザーの甘い香り。
(テースティングに移って)
年数が若い割には、とんがった感じがしないねえ。
後味がオガクズの香り。
爽やかで、軽やか。でも、しっかり口の中に香りが残って…。
おいし~い。おだやかですねえ。
穏やかなのは、46度に加水調整されていることもありますね。
飲み易い。
若いけれども、しっかりと作られたロセスですね。
何かにたとえるとしたら?
若くて育ちの良い貴公子、かな?
いや、純朴で無垢な木樵の青年。
僕は、奈良の「若草山」。
穏やか春で、草の香りがして、麓に鹿の居そうな。
加水すると、とっても甘あ~い。
うん、木樵が浮かれ出した。(笑)
1988年ハイランドパーク12年(マッキンタイア)
今日の二本めは、1988年のハイランドパーク12年、フィノ・シェリーカスクNSで62.3度です。
ここの樽は、オークも、シェリーもあるのですが、面白いのは、このフィノ・シェリーですね。
ボトラーは、マーレー・マクデヴィッド社のドイツ向けブランド「マッキンタイア」ですね。
(ノージングしながら)
香りは、シェリー香だけど、あまり立ってこない感じかな。
ナチュラルで度数が高いので、最初の香りは硬いかもしれないですね。
(テースティングに移って)
口の中に入れると、しだいに香りが膨らんで、広がってくるような。
後味は、ちょっとチョコレートっぽい。
先程のロセスと比べると、やっぱりちょっと重いような。
度数が高いから、ピリピリと辛い印象もある。
季節で言うなら、「秋」の印象かしら。
重厚感と安定感。
うんうん、わかるわかる。
「彫りの深い西洋人の高倉健」
またまた難解でユニークな表現ですね。(笑い)
加水してみましょうか。
すごお~い。この香り。
鼻を近づけただけで、強烈な秋の香りが広がる。
口の中でも、隅々まで広がって、後味の印象も長く続くような。
口の端までギュッとくる感じ。
高倉健が川谷拓三になってしまった。
それって騒がしくなるってこと?
印象が全然変わりますね。
12年でも、しっかりとボディがあって、重厚な印象。
これが、ハイランドパークらしさでしょうか。
う~ん、うまい(一同、笑)。
1981年ポートエレン19年(ザ・ボトラーズ)
今日の締めは、これで行きましょう。
1981年蒸留のポートエレン19年、
リフィル・シェリーカスクNSで60.4度でかなり高めです。
ボトラーは、イギリスの高級ブランドの1つ、「ザ・ボトラーズ」ですね。
ポートエレンとしては異色の出来だと思います。
(ノージングしながら)
うん、好きな香り。(笑)
この香りはポートエレンなの?っていうところが、個性的で異色ですね。
(テースティングに移りつつ)
最初は、シェリー香で、スペイサイドらしく感じるんだけれど、
口に入れると、後から、ポートエレンになってくる。
こげた木の中に、フルーツが入っているような感じ。
後味は薫製の香り。
最初は、シェリー香でわかんないですよね。
後味になって、アイラモルト独特のピート感が出てくるんですよね。
うん、ピリピリ感、塩っ辛さ、正露丸臭さ。
後になって出てくる。
アイラモルトに慣れている人ほど、このシェリー香にだまされるじゃないかと。
わかるわかる。
加水すると、ピリピリが強くなってきますね。
アイラモルト、ポートエレンの個性が前に出てきた感じだね。
これはね、「年季の入ったキムチの液に漬けて作った薫製の味」
食べたくないよ。
僕も食べたくはないけど。(一同、笑)
特別なことの会った日に、ゆっくりと飲みたい感じ。
男性に喩えるとすれば?
ポート・エレンは、スリリングな恋人って感じかしら。
でも、旦那様にするなら、包容力のあるハイランドパークだわ。
グレン・ロセスは、何でもフランクに話せるボーイフレンドみたいね。
う~ん、お見事。