テイスティング・ルーム第26回
東京のとあるバーに集まる男女3人。
モルト通とはまだまだいえない初心者からセミプロまでいますが、
自分勝手なことをしゃべっているには変わりありません。
話の内容については、まあ信用できるでしょう。
なにせ呑んじゃってるんですから。
今回のウイスキー
- 1981年グレンクレイグ21年(ケイデンヘッド)
- 1989年ロングロウ(オフィシャル)
- 1989年エドラダワー(オフィシャル)
登場人物
マスコミ関係の会社に勤務。おいしいものをおいしいと言える、20代の素直な女性。
金融関係の会社に勤務する男性。仕事がシビアな割に、舌の方の評価は優しい40代。
昼は国際派ビジネスマン、夜はバー&モルト逍遥の達人。
歯に衣着せぬコメントとおやじギャグが痛快な男性。
とあるバーのマスター。?代の男性。
1981年グレンクレイグ21年(ケイデンヘッド)
今日は新着ボトルのうちから、 個性派のモルト3本をランダムに選んでみました。
まずは、グレンクレイグ1981年です。
ケイデンヘッドが出してきたボトルで、 21年熟成、アルコール度数は56.2度ですね。
確か2年ほど前(第十回、2001年10月)にも、 このテイスティング・ルームでケイデンヘッドが ボトリングしたグレンクレイグ(81年蒸留、19年熟成、57.9度) を取り上げています。
確か私がお休みして、K2さんにピンチヒッターを お願いした時ですね。
そうでしたね。
そのグレンクレイグと同じ1981年に蒸留されてまして 2年だけ長熟というわけです。
あのときの、あのボトルの印象と比べて、 どうかということをテイスティングの中で探っていただきたいと思います。
ひとつ質問してもいいですか?。
なぜグレンクレイグが個性派モルトに選ばれたんでしょう?。
2年も前のことなので、もうお忘れかも知れませんね。
それでは復習から始めましょうか。
グレンクレイグというモルトを作っている蒸留所は どこか知っていますか?。
ええっと、グレンクレイグ蒸留所ですか?
実は、作られているのはグレンバーギ蒸留所なんです。
ところでIさん、ローモンド・スチルって言葉、記憶にありますか?。
以前に何度か聞いたように思います。
そうですね。
グレンクレイグというのは、スペイサイドにあるグレンバーギ蒸留所で ローモンド・スチルで蒸留されたモルトに付けられているブランドです。
ああ、そうでしたね。
いま思い出しました。
現在のアライド・ディスティラーズ、 当時のハイラム・ウォーカー・スコットランドが、 1930年代にバランタイン向けのグレーン蒸留のために ダンバートン蒸留所を造りました。
その後、ハイラム・ウォーカーは、そのダンバートン蒸留所の敷地内に、 インヴァリーヴン蒸留所を開設し、モルト蒸留のための新技術の 研究開発を手がけるようになりました。
そこで開発された特殊なポットスチルがローモンド・スチルです。
ローモンド・スチルという名称については、ローモンド湖(ロッホ・ローモンド)から 水を取って使っていたので、それに因んでつけられたようです。
なるほど。
ローモンド・スチルというのは、筒型をしたポットスチルなんですが、 ネックの部分にコイルがついていて、再加熱することができるという 特徴があります。
つまり再加熱の加減によって、蒸留されるスピリッツの酒質を変えられる というところがローモンド・スチルのセールスポイントです。
ひとつのポットスチルで、何種類も違った個性を作り出せるわけだから、 日本のウイスキーメーカーが導入すべきだった技術だと思うね。
確かにそうですね。
ただし、使い勝手があまり良くなかったからかどうかは分かりませんが、 グレンバーギ、ミルトンダフでは80年代前半に撤去されてしまっているようです。
現在インヴァリーヴンに残されているローモンド・スチルは、 稼動できる状態ではありませんし、スキャパ蒸留所では稼動はしていますが、 再加熱用のコイルは使っていないようです。
そうなると今はローモンド・スチルの製法で作られているウイスキーはない。
そういうことになりますね。
このグレンクレイグは81年蒸留ですから、ほぼローモンド・スチルが撤去される 直前ということも言えます。
そう言えばグレンクレイグのオフィシャルボトルというのは見ないですね。
ハイラム・ウォーカーは、傘下蒸留所のモルトのほとんどを バランタインの原酒として消費してしましたから、公式なものは一度も 出ていないんです。
グレンクレイグは過去にゴードン&マクファイルが出したものと、 2年前に出たケイデンヘッドのものくらいで、ほとんどないですね。
そういう意味でも希少なモルトなんですね。
そういうことです。個性派の希少ボトルですが印象はいかかがでしょうか。
きれいな琥珀ですね。
ビーズも立っていますね。
最初に感じたのは芝生の香り。
次には森林浴。
私は、木の香り。
モルトの香り。
木の香りとモルトの香りが混ざり合っているようですね。
本当に良い香り。
うん、woodyじゃなくて、木の香り。
Sさん、この違い、分かりますか?
木材じゃないって、ことですか?
そうですね。
woodyは樽とかの材質。
木の香りというのは森とかで感じる香りです。
分かります、treeね。
木の皮なんかの匂いもそうですよね。
そんな感じですね。
グラスを回しているとモルトの香りが強くなって来るようですね。
確かにそうですね。
キイ・ノートはtreeよりもモルトなんだと思いますね。
味わいの方はどうかな?
最初の刺激はピリっときますね。
酸味があって爽やかな印象です。
柑橘系のような爽やかさですね。
グレープフルーツでしょうか?
口に含んでいると柔らかくなってくる。
麦芽の甘さが出てくる。
うん、本当に甘いですね。
舌の上にザラっとした粉っぽい感じが残る。
ローモンド・スチルで作られたモルトはオイリーなものになるって 言われてますけど、このグレンクレイグを飲んだ印象からは、 ちょっと違うようにも思われますね。
そうかも知れませんね。
モストウィーなんかも、軽やかであまりオイリーじゃないし。
このグレンクレイグについては、私は少しオイリーさを感じます。
そうですか?
やっぱりグレープフルーツの「わた」が出てきたように思います。
酸味があるのは分かるけど、まだグレープフルーツまでにはなっていない。
私は、「わた」を感じます。
まだ「わた」にはなっていない。
何かが欠けている(笑)。
どんなエレメントが足りないですか?
それはまだちょっと分からないけど。
でも自分にとっての「わた」とはやっぱり違う。
口に含んでからの香りも良いですね。
鼻に抜ける香りはwoody。
確かにwoodyですね。
前半のtreeの香りが、口に含んでからはwoodyになってくる。
本当にSさんの言うとおり。
面白いですね、この変化。
トップの香りも、最初に感じたものと時間がたってからとでは、 変わってきているようですよ。
私は、最初に酸味と甘味を感じたんですが、 今は香りも味もヒリヒリした印象に変わってきています。
私も、舌の上や口の中に、ピリピリした強い刺激や痺れたような印象を感じますね。
でも、この刺激は、アルコールに由来するもので、 スパイシーっぽいわけではないようです。
確かにそうですね。
ところでSさん、このモルトにはピートは感じられますか?
う?ん、ちょっと難しいね。
これもそうだけれど、アルコールの印象とピートの印象が ハッキリ分けて感じられないものがある。
そういう時は、どうするんですか?
ちょっと誤魔化して、peat/alcoholって書いておくことにしてます(笑)。
蒸留の時期からみれば、peatが使われていてもおかしくなんですが。
81年頃といえば、まだスペイサイドでもpeatを使っていたのではないかと。
香りには、また甘さが出てきたように思います。
味わいの方には、渋みが出てきましたね。
刺激で麻痺した感じが渋みになってるんでしょうかね。
でも、何だろう、昔飲んだ懐かしいモルトの味がする。
とても懐かしい感じ。
なるほど。
一番最初にスコットランドに行ったときに、あっちこっちの蒸留所で ガバガバ飲んでいた頃にこんな感じのモルトに出会ったような。
いかにもスペイサイドって感じのモルトで。
何となく分るような気がします。
最後は、渋みとか苦味が出てくる。
わかります。
確かに苦い感じあります。
自分としては、そんなに嫌な感じはないんですけど。
痛さの刺激が余韻になっている。
ちょっとマゾヒスティックな言い方をすると、 痛いけど、この痛さが良いのって感じ(笑)。
口に入ってきたときには飲みやすい感じがあるんですけどね。
だんだん刺激が強くなってきます。
加水したら、スパイシーな感じ。
薬草みたいな味が出てきた。
こういうようなヒリヒリした余韻も悪くない。
本当に面白いですね。。
アルコールの刺激だけじゃなくて、やっぱりスパイシーな個性も 出てきたように思いますよ。
そうですね。
1989年ロングロウ(オフィシャル)
それでは、次のモルトに行きましょう。
ロングロウの1989年ですね。
13年熟成のカスク・ストレングスでして、 アルコール度数は53.2度ですね。
Wood Expressionsというシリーズの第二弾ですね。
これは樽の種類がシェリー・ウッドです。
Sさん、これはフルシェリーで 13年熟成ということですよね。
私の理解では、そうだと思います。
ここにSherry Buttと書いてありますから フィニッシュではないでしょう。
まあ、この色ですから、フレッシュ・シェリーではなく、 リフィールだろうとは思いますが。
そうでしょうね。
ところで、このシリーズの第一弾というのは何だったんでしょうか。
これが、そのボトルです。
スプリングバンクのラムウッド・フィニッシュですね。
これも飲んでみたいですね。
美味しかったよ。
ラムレーズンぽくて。
今日は、こちらのシェリーのロングロウの方をどうぞ。
うん?、ちょっと残念(笑)。
色は赤みがかった琥珀。
ああ、けむたい。
ソーセージの香り。
香りが嗅ぐ度に変わっていく。
うん、最初は、スモークハムみたいな感じだったけど、 すぐにソーセージになってきた。
このソーセージの香りは、スプリングバンク蒸留所の香りですよ。
隣にソーセージ工場があったりして(笑)。
スプリングバンクの見学コースは、モルティング・フロアから キルンのあるところに入っていって、裏庭に出るんですが、 その裏庭の匂いです。
へえ。
あそこは、キルンで焚くピートを積んであるんで、その匂いですね。
いろんな匂いがして面白いですね。
グラスを回すたびに、いろんな表情が出てくる。
本当ですね。
もうソーセージの感じじゃなくなってきました。
香りのベーシックなところは煙とピートです。
このロングロウは、ピーティーですよね。
ロングロウ10年ではピートをあまり感じなかったですけど。
そうですね。
久しぶりにピーティーなロングロウに出会ったような気がします。
あそこはトミントゥールで掘り出されたピートを使っているんですよね。
そうですか。
だから普段はスペイサイドのピートを使っていて、 特別なときにはアイラピートを使ったりしているようです。
なるほど。
味の方はいかがでしょうか。
ああ、とても美味しいですう。
ごくごく飲めそう。
53.2度であまり度数が高くないですから、口当たりは良いですね。
やさしい味わいが広がります。
Smoky wood。
やさしいピート。
フィニッシュは、スプリングバンクの塩。
最初に口に入れたときに厚みを感じますね。
そうそう。
口に入れると、上顎と舌の間で液体の存在感がハッキリとあって。
うんうん。
ただ、舌の上に乗せたときに化学調味料の味も感じます。
天然の旨みじゃなくて、「味○素」ですよね。
そうそう、母ちゃんの味噌汁じゃなくてね(笑)。
本当にアメリカ人かね、この人は(笑)。
本当ですよね。
それにしても久しぶりにピーティーなロングロウを飲んだような気がします。
鼻で感じるピートの印象は強いんですが、 舌のほうで感じるピートはさほど強くないように思います。
そうですか。
私は舌の方でも、味○素とピートと両方を感じます。
僕は、ピートというよりはSmoky woodのような味わいで、後からは塩。
なるほど。
もうソーセージは全く感じなくなってしまった。
無くなっちゃいましたね。
ピーティーな印象。
でもアイラ・モルトとはちょっと違っていて・・・。
本当に。
面白いですね。
ソーセージの後は、どんな印象に変わってきましたか?
僕は、胡椒のような刺激を感じます。
私は、南洋の果物みたいな感じがありますね。
ドリアンとは言わないけれど、パパイヤくらいかな。
なるほど。
甘ったるい。
確かに、底の方で濃い甘さを感じますね。
スモークされたマンゴー(笑)。
ピクルスやドライフルーツのマンゴーならありますけど。
スモークはちょっと無いよね。
でもこれは本当にうまいよ。
味わった後に、また香りに戻っても十分に楽しめる。
本当ですね。
それから味に戻ってもまた面白い。
香り、味わい、余韻・・・それからまた香りに戻る。
かなり濃い印象を持ちながらも、表情はドンドン変わっていく。
このロングロウに比べると、先ほどのグレンクレイグは 21年なのに軽いですよね。
確かケイデンヘッドが前に出したグレンクレイグも麦の味わいはありましたが、 強烈な印象はなかったように思いますね。
ああ、だんだんとクセが出てきましたね。革のような感じ。
そうですね。
ちょっと嫌な感じ。
もう少し進むとゴムになるぞ、みたいな。
ああ、するする。
今は、ギリギリのところで止まっているんですけどね。
そうそう。
香りが、こんなに変わるのは珍しい。
この変化は、本当に面白いですよね。
塩っぽい感じも出てきましたね。
スプリングバンクの特徴ですね。
さっき、ちょっとだけ香水を感じたんですが、 加水したら強くなってきたように思います。
ああ、本当だ。
加水したら、だんだん強くなって。
確かに香水の印象が出てきますね。
Sさん、香水の原因っていうのは、その後わかりましたか?
知るもんか(笑)。
いやいや、いろいろと聞いていますけど、 これだっていう答は分りませんね。
香水の香りって、一口に言っても、ボウモアも、グレンタレットも、グレンギリーも、 それぞれに違う個性がありますからね。
私にとっては、ボウモアとグレンギリーとオーヘントッシャンは 同じ種類の香水のように感じられますね。
グレンタレットは、また異なる種類だと思います。
グレンタレットの香水は、個人的には許せる香りです。
1989年エドラダワー(オフィシャル)
それでは、今日3本目の個性派モルトに行きましょうか。
オフィシャルのエドラダワーです。
1989年蒸留、13年熟成のシングル・カスクで、 アルコール度数は58.2度です。
エドラダワー蒸留所といえば、 ペルノ・リカール社が保有してきた 観光蒸留所だった訳ですが、 昨年、瓶詰業者であるシグナトリーの傘下に入りました。
シグナトリーの社長であるサイミントン氏が、 エドラダワー蒸留所の貯蔵庫からインディペンデント・ ボトラーとして長年培ってきた舌と鼻で選んできたのが、 このシングル・カスクではないかと思われます。
ウフフフ。(少し含みながら)
結構色も出ていますね。
エドラダワーの持ち味と同じものを出しているのか、 はたまた違った個性を出してきているのか、 その辺りをテイスティングを通じて、感じ取っていただきたいなと思います。
あははは。
ボトルもこの通り、かなりマニアックな形をしていますし。
きれいな赤い色ですね。
シェリー好きにはたまらない色ですよね。
ちなみに日本にはまだ正規ルートでは入っていないようです。
そうですか。
本数も、それほど多くないようですし。
382本ですね。
ただ、「ボトラー」であるシグナトリーの傘下に入ってから出てきた シングル・カスクですが、これは「ボトル」ではなくてデキャンタなんです。
ほら、ここにも「デキャンタ・ナンバー」と書いてある(笑)。
あっ、本当ですね。
ああ、濃いシェリーの香り。
キャー!シェリー、嬉ちい。
甘すぎる。
ジュースみたいに濃い甘さ。
シェリーだけど、ちょっと刺激もある。
そうですね、ただ甘いだけじゃなくて。
あの、梅干しみたいな感じです。
プラムじゃなくて、梅干しですか?。
ええ。
梅干しっていっても、酢と紫蘇で漬けたのじゃなくて、 蜂蜜とかで漬けた梅干しみたいですね。
紀州南高梅の黄金漬とかっていうような。
そうです、そうです。
ちょっと変わってきましたね。
乳酸系。
すごく甘い香り。
濃厚なミルクキャラメルですね。
甘すぎるファッジ。
エドラダワーのキャラメルっぽさが出てきていますね。
鼻への刺すような刺激が、たき火の煙みたいにも感じます。
やっぱりこれ甘すぎるキャラメルの香り。
ところで、エドラダワーについては、未確認情報の噂がありますよね。
エドラダワー蒸留所って、スコットランド最小の蒸留所と言われています。
実際に行ってみるとポットスチルとか本当に小さいんです。
しかも製造スタッフは2名でやっているという。
それなのに、結構な本数が出荷されているわけで、 どうやってあれだけの量が作れるのだろうかとかいうような話があります。
これ以上の噂になるとオフレコですけどね。
ペルノ・リカール、アベラワーなどなど(笑)。
お味の方はどうですか?。
口に入れたら薔薇の花の香りが広がります。
良く言えばそうですね。
私にとっては香水石鹸ですが。
人工的な香水、化粧品の味わい。
香りよりも、味の方が鮮烈ですね。
口に膜が張られるような感じがあります。
香水入り石鹸をキャンディーみたいに食べたら、 こんな味がするんじゃないかなっていう味ですよね。
香りの時にはそれほどでもないんだけれど、 口に含むと人工的な香水っぽさが強烈に広がりますよね。
香りの甘さは人工的。
エドラダワーの個性はありますけど。
そもそもエドラダワー自体がスコッチ・ウイスキーとは違った 飲み物の個性を持っていますから。
これは、香水の味わいを中心に、更に突き抜けてしまってますけど(笑)。
先日のウイスキーマガジンライブの時に、 エドラダワーの関係者である某氏に聞いた話なんだけど、 エドラダワー蒸留所は小さい蒸留所を少人数で回しているので、 製造工程の一つ一つがバッチ化されている。
つまり工程ごとにいったん区切りを付けて、 次の作業工程に移っていくことになる。
大きな蒸留所であれば、一貫してやったり、並行してやったりできる 作業であっても、エドラダワーでは休み休みやらなければならない。
そういった区切りにおいて、温度管理をしなければならない作業も、 翌週まで止めてしまったりしていたようです。
人工的な香水の味の原因を突き止めるなかで、 どうもバッチ化された工程において不十分な品質管理にあるらしいことが 10年くらい前にようやく判ったと言っていました。
それで、現在はそうした不備を改善しているので、これから出てくる エドラダワーでは、そういった石鹸ぽいところは無くなってくるだろうと。
なるほど。
オフィシャルのエドラダワー10年に、とても濃厚なミルクキャラメルの 個性を持ったものがありましたよね。
これは、あの個性をもっと鮮烈に凝縮したようなところがあるので、 エドラダワー好きは結構ハマるんじゃないかと思います。
そうかも知れませんね。
私にとってのエドラダワーの個性というのは、 香水の香りのする石鹸なんですが、このエドラダワーは、 石鹸の香りのする香水(笑)。
私は嫌いじゃないかも。
耳の裏に付けるといいよ(笑)。
ある意味で、アイラ・モルトと同じくらい 強烈な個性を持っているんじゃないかと思いますが。
確かにそうですね。
味の鮮烈さとか。
すいません、今のオフィシャル10年ください(笑)。
時間が経ったら、香水の味わいが随分変化してきてますよ。
もう薔薇の香りは通り越してしまったようで。
ほんとだ。
もう薔薇の香りじゃなくなった。
どんな味になってきたの?。
安物の香水。
あと梅干し。
私は梅干しというのは、ちょっとわからない。
でも、やっぱりクセになりそう。
基底には、シェリー樽の渋味みたいなのも感じる。
やっぱり私、シェリーが好きなんだなって実感します。
硫黄も下の方にあって。
そうですよね。
下地みたいなところに。
はい、そうです。
で、上の方には、オート系のような味がある。
埃っぽいところもありますが、美味しいです。
やっぱり今日のエドラダワーが相当に強烈ですからね。
確かに強いクセはあるけど、うまいよね。
オフィシャル10年の方は、おとなしいね。
スコットランドのお土産で貰うウイスキー・ファッジがこんな感じ。
濃くて、甘くて、人工的で。
オフィシャル10年は、口に含むとおとなしくなってしまいますね。
こちらのカスク・ストレングスの方は、香りよりも口に含んでからの 個性の方が極立ちますね。
あざやか。
確かにあざやかですね。
今日のエドラダワーが鮮やかなカラーだとしたら、 オフィシャルはモノトーンみたいです。
とても鮮やかで、しかも輪郭がシャープです。
エドラダワーの香りにフルーツを感じるんですけど。
何か熟れ過ぎた果物みたいですね。
うん?、トロピカルフルーツみたいなんですけど。
ああ、ドライフルーツのグアバとかマンゴーとかみたいだね。
そうですね。
マンゴーみたいな感じの印象ありますよ。
あとフルーツ・ヨーグルトのちょっと蒸れちゃったみたいなのですね(笑)。
強烈なところが、明確な魅力になってますね。
でも、そのパワーが堪らない感じです。
(一同しばし沈黙、余韻に浸る)
それでは、総括に行きましょうか?。
Iさんは、どうですか。
ええっと、今日は「また飲みたい順番」で言います。
1番がロングロウです。
そして2番目がエドラダワー。
そして、最後がグレンクレイグでした。
ロングロウの魅力は何ですか?
ピーティーなのに、甘くて飲みやすかったところ。
そして香りと味わいの変化が様々で豊かだったところです。
また飲みたいです。
そして、次回どんな表情をしてくれるのかとても楽しみです。(にっこり)
エドラダワーは、何が良かったの?。
最近、個人的な趣味がシェリー・モルトに転向してきているので(笑)。
色の濃いところ、シェリーの個性がハッキリと強く出てきているところが 良かったと思います。
グレンクレイグについては、ちょっと刺激が欲しいときに 飲みたくなるかなって思いました。
今日はそれぞれにモルトの印象が強かったので、 ちょっと当てられたというか、酔っ払ってしまったかも知れません。
それじゃ、Kさん。
はい、そうですね。
3本とも個性は揃いでしたね。
特にモルト自体の持つ個性としては後半の2本、ロングロウ、 そしてエドラダワーの個性が鮮烈で、 印象深いものであったように思いました。
最初に飲んだグレンクレイグは、麦の香りと木の香りがうまく出ていて、 美味しい特徴を持っているとは思います。
ただ、後半になってくると、口や舌へのヒリヒリした刺激が強くなりすぎて、 疲れた心を癒してくれるとか、包み込んでくれるようなところには 行けない感じがしました。
面白いんだけどね。
我慢強い方だと思うけど、やっぱりマゾにはなりきれないかも(笑)。
自分にとって2番目に印象深いのはエドラダワーです。
個性の立ち方という意味において、快刀乱麻を断つというか、 鮮やかな印象のあるモルトでした。
とても濃い味わいのなかで、好き嫌いが分かれる人口香料の味と、 ベースにあるシェリーの個性と、エドラダワー特有のトフィーっぽさとが、 住み分けながらも競い合っていると思います。
うん、うん。
で、今日1番良かったと思ったのは、ロングロウのシェリー・ウッドです。
何が良かったかというと、香りと味わいと余韻の目まぐるしい変化ですね。
ノージングでは、鼻を近づけるたびにいろんな表情、個性が顔を出してくる。
スモークハム、ソーセージ、そしてロングロウ特有のピート。
味わいも同じように様々に変わる。
麦の味わいと甘味、胡椒のスパイシーさ、そしてスモークされたマンゴーの甘さ。
シェリーの個性も出しながら、嫌らしいクセに進む直前のギリギリのところで 寸止めされている。
根っこでロングロウの個性を持ちながら、様々に変わる表情を持つロングロウ、 素晴らしい。
じゃ、最後にSさん、お願いします。
私も、ロングロウが1番いいと思います。
Kさんと同じみたいなんだけど、香りが色々に出てくるところがいいね。
スモークしたフルーツとか、ソーセージは、初めての経験かも知れない。
同じロングロウを先日飲んだときにも、実は開けたてだったんだけれど、 そのときの印象は、それほど強くなかった。
今日は、とても素晴らしいものだったと思います。
僕にとっての2番めはグレンクレイグ。
明確な特徴はないけれど、ウッディで刺激の強いものは結構個人的には好きです。
どっかのバーに行ったときに、これを改めて指名するかと言われれば ちょっと分からないけど(笑)。
Iさんが買ってくれたら、きっと十分に楽しめるんじゃないかと思う(笑)。
えっ、なになに?。
いやいや冗談、冗談。
で、エドラダワーなんだけれど、昔一時期好きな時期があったんだけれど、 今は、実を言うとこの個性があまり好きじゃないんです。
ただ趣味が変わっただけなんだけれど。
で、友人のバーテンダーに言わせると、モルトの入り口がグレンフィディックとか、 グレンリヴェットになった人は、次の趣味がエドラダワーになる人が多い。
実際に、その友人のバーでは、一番売れているモルトが エドラダワーだったりしている。
へえ。
で、いろいろと振り返ってみると、 やはり個人的な趣味が変わっているだけのことで。
ウイスキー・ファッジの濃厚な甘さ、そして石鹸の香水という、 私の嫌いな味が揃っているだけのことです。
まあオフィシャルの10年よりは、強い個性を放っているとは思います。
カスク・ストレングスということもあるし。
さっき話したように、温度管理が徹底されるようになってきている とのことだし、またエドラダワーの味が変わってきて、 自分の趣味に近づいてくればよいなと思います。
このエドラダワーは、きわめて個性的ですよね。
エドラダワー自体がモルト・ウイスキーらしくないですからね。
特に、これは突き抜けてしまっているよね(笑)。
私は好きですけどね。
最後にナイスフォロー。